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お風呂のお湯も人生も体温くらいの温度が一番気持ちいい でも、もちょっと熱くてもいいじゃん
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 今更ですが、ひと夏の体験を綴ってみました。
 めっちゃ長いけど・・・暇潰しにどうぞ。

 


 霊とか怪奇現象とか、そうしたものを信じていなかった。
 テレビの心霊特集やいわゆる怪談ものは好きだったが、信じていないが故の好奇心で、結局はそんなもの在りはしないと思っていたのだ。

 しかし、その在るはずのないモノは、突然視えるようになることがあるらしい。

 高校時代の友人達と旅行に行った。
 ひとしきり観光をした後、すっかり陽の落ちた時間になぜか私たちは田圃の畦道のような所を歩いていた。周囲に人家は殆ど無く、電灯も無いから暗いことこの上ない。それでもカメラを片手にワイワイはしゃぎながらの路で、怖いと思った者は居ないようだった。よく見れば、私たちの前を、ちょうど同じ年頃の女の子が2人連れ立って歩いている。だから平気だろうという気持ちもあった。2人のうち1人は流行のピンクのマキシドレスを着ていて妙に印象的だった。
 田圃の中に何か居た。見ると、どういうわけかブタだのヤギだのといった家畜が歩き回っていた。私たちはそれぞれ勝手に田圃に入り込んでは動物達と戯れて、それこそ大はしゃぎだった。いつしか例の2人の女の子も一緒になってはしゃいでいて、夜中だというのに写真を撮ったり走り回ったり、さぞかしうるさかったろうと思う。

 後日、同じ顔ぶれで食事に出掛けた。休日だから昼間からの集まりで、食事と言っても豪勢なものではなく地元のファミレスである。要は、食事はついででぺちゃくちゃ話せればいいという会だ。
 1人が旅行中の写真を現像して持ってきていて、テーブルの上で広げて見てはまた皆ではしゃいでいた。
 その時、写真を持参した友人が1枚の写真を指してこう言った。
 「ねえ、1人多くない?」
 田圃を背景に、6人が写っている。私たちは全員で6人だから、撮った1人を抜かせば確かに1人多い勘定になる。見覚えのある女の子が写っていた。
 「違うよ、この子あの時偶々前歩いてて一緒になった子だよ。このピンクの、着てたもん」
 そう私が言うと、なーーんだ、と彼女が言って一気に場の緊張が解けた。
 「もーっ怖いこと言わないでよぉ、びっくりしたよ」

 駐車場の車に戻った。今日は写真持参の友人が運転する車でやってきたのだ。
 車に戻ってからも、ある者は車外で、ある者は車内に座り込んでまだ喋っていた。どうせこの後もカラオケにでも行ってつるむつもりなのに、である。
 その時私は妙な違和感を覚えた。

 今度こそ、1人多い。

 あのピンクのドレスの女の子が居た。

 何故かは分からないが、私は彼女がこの世のものでないことを瞬時に理解した。
 始めはじっとしていたようだが、しばらくすると彼女はわけの分からない言葉を吐きながら、開け放たれた後部座席を行ったり来たりしていた。その声が聞こえるのも姿が視えるのも、どうやら私だけのようだった。
 何も聞こえない、視えない、関係無い・・・・・・そう自分に言い聞かせながら、私は必死で平静を装った。 

 その内に、そろそろ出発しようという段になり、各自車内に乗り込んだ。彼女も乗り込もうとしているのが分かった。嫌だ。だが私は何も言えず何も抵抗できずにいた。
 私は後部座席の真ん中の席に居た。左隣には友人が1人居て、その更に左に彼女が居る。少しでも彼女との距離を置きたいのと、このままでは友人と彼女が合わさる形で座ってしまうのとで、私は友人にもっとこっちへおいでよ、と言って無理矢理右側へ引っ張った。しかしこれでは他の友人達が乗れなくなってしまう。ただでさえ6人で1台の車に乗ろうというのだ、今考えればかなり無茶である。仕方なく左へ詰めた。左隣の友人は端に座っているはずなのに、その左隣に小さく彼女が座っているのがちらりと見えた。何も知らない友人に申し訳ないと思いつつも、私は自分がその席でなくて良かったと薄情なことを考えていた。

 そのまま車は出発した。
 嫌だ。どうにかこの状況を打破したい。でも、言えない。
 ふと、私は高校時代のお祈りの言葉を思い出した。私たちの高校はカトリック系の学校だったのだ。同時に、あの旅行の行き先が長崎で、田圃を通る直前に行ったのが隠れキリシタンの家だかお堂だかだったことも、何故か急に思い出した。
 私は何気ない様子を装い、右隣の友人に「ねえ、高校の朝礼と終礼の時に言わされてたお祈り覚えてる?」と聞いた。覚えてるよ、という彼女に、じゃあ今一緒に唱えてみようよと持ち掛けた。目の端であの子が両耳を押さえるのが見えた気がした。

 せーの、でお祈りを始める。
 途端に、声が出なくなった。友人は普段と変わらぬ様子で無邪気に十字を切っているのに、私は急に金縛りにあったように身の自由が利かなくなった。しかも、ぶるぶると震えだして止まらない。声は出ないのに口は動くから、自分の歯がガチガチ言う音が聞こえる。

 そっと左を見てみると、端に居たはずの彼女がいつの間にか私のすぐ隣に座っている。
 そして、物凄い形相で私を睨み付けていた。
 
 恐怖に支配されるのと同時に彼女の手がぐっ、とこちらに伸びてきた。

 その瞬間、

 ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ









 ・・・・・・というところで目が覚めました。笑。
 ね、ね、怖かったでしょ!?
 久々に結構怖い夢、それも筋書きが割としっかりした夢見たもんだから、書きたくてしょうがなかったんだよ~。
 え、でも夢オチって気付いてたって?
 それは言っちゃらめ~~っ。
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ぎゃ
ホントの体験談だと思ってた私が通りますよ。
ていうか、それ絶対何かしらいたでしょ!?
やめてやみてやめてこわいから。
栄光は父と子と聖霊に。初めのように
今もいつも世々に アーメン
みどりろ 2009/09/30(Wed)21:35:19 edit
父と子と聖霊の御名において
うふふふ。なかなか怖いっしょ?
でも、みどりろにはすぐ嘘(いや嘘じゃないな、夢だもの)ってバレるかなーと思ってたんよ~。本当の話だったらメンバーの中にみどりろも間違いなく居るわけだからねw
目覚めた時、時計見たら朝の7時でものすごく嬉しかった。夜中の2時とかだったらどうしようかと思ったよ・・・ぜえぜえ。
2009/09/30 23:28
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